毎セットを限界まで追い込むほど回数が伸びにくい。「あと2回できる」余力を残してセットを終える手法と、ブラッド・シェーンフェルド博士の研究が示す総ボリューム優先の考え方を整理する。
本記事はBARREL編集部が独自の基準で制作していますが、掲載する商品の販売元から報酬を受け取る場合があります(PR)。Amazonのアソシエイトとして、BARRELは適格販売により収入を得ています。編集方針
懸垂が5回止まりから抜け出せない。毎セット最後の1回まで絞り出しているのに、回数が変わらない。そういった状況で欠けているのは、根性ではなく「セットの終わらせ方」への視点かもしれない。
毎セット「限界まで」が回数を止める
直感に反するが、懸垂の回数を増やす近道は、毎セットを限界まで追い込まないことにある。旧ソ連の特殊部隊出身として知られるトレーナー、パベル・サッソーリンによって広まったこの考え方では、「完全に疲労し切る前にセットを終え、短い休憩を挟みながら反復回数を積み重ねる」ことを基本とする。ストレングスコーチのジェレミー・エシアーも同様の方法を紹介しており、「正しいフォームでこなせる回数(レップ数)が増加し、それが筋力の迅速な向上と、懸垂に関わる筋肉のより効果的な活性化をもたらす」と述べている(Esquire Japan)。
「あと2回できる」で止める
具体的な目安は、「あと2回はできる」と感じる手前でセットを終えること。5回連続でこなせるなら、1セットあたり2〜3回に抑える。こうすることで過度な疲労を避けながらセット間の回復を早め、「結果として総回数を増やしやすくなる」(Esquire Japan)。
この記事の内容を実践する道具
記事の内容を実践するときに使える道具の一例です。

トレーニングチューブ 強度別5本セット 日本語トレーニング動画
¥3,490★4.69(2,051件)2026年10月13日時点・楽天市場
価格・レビューは2026年10月13日時点の情報です(商品情報の提供: 楽天市場)。最新の価格・在庫はリンク先で確認してください。
重要なのは1セットの強度より総ボリューム
なぜ余力を残すことが有効なのか。ブラッド・シェーンフェルド博士の研究では、経験豊富な被験者による低負荷の10REP×3セットと高負荷の3REP×7セットで、ボリューム(負荷×回数×セット数)を等しくして比較した結果、筋肥大効果に差がなかったことが示された(Tarzan Web)。かつて「6〜12REPが筋肥大ゾーン」とされてきた通説にも、科学的な根拠は薄いという見方がある(Tarzan Web)。
1セットを使い切ると次のセットまでの回復に時間がかかり、セッション全体の総ボリュームが落ちやすい。余力を残してセット数を積む手法は、この総ボリューム優先の考え方と整合している。
1回もできない場合は斜め懸垂から
懸垂を1回もこなせない段階では、足を地面につけたまま体を斜めにする「斜め懸垂」が入口になる。バーを肩幅より拳2〜3個分広く握り、体を斜めにした状態でひじを脇腹に引きつけるように曲げ、ゆっくり元の姿勢に戻す。地面と体の角度が鋭角になるほど強度が上がるため、まず体を起こした角度で10回×3セットから始め、慣れたら傾きを深めていく(MELOS)。
懸垂は体重そのものが負荷になるため、体重が重いほど同じ動作の難易度が上がる(MELOS)。
鍛えられる部位
懸垂では広背筋(脇を締める・腕を後ろに引く動作で働く)と僧帽筋が主に鍛えられ、上腕二頭筋も補助的に関与する(MELOS)。動作中は脇を締める意識を持つと、広背筋への刺激を引き出しやすい。
※ここからは編集部の推定・示唆です
余力を残して積み上げる考え方は、懸垂に限らず自体重トレーニング全般に通じる。1回のセッションで出し切ることよりも、翌日・翌週も同じ質の動作を繰り返せる状態を維持するほうが、長期的な回数増加につながりやすい。「どれだけ追い込んだか」ではなく「総ボリュームをどれだけ積めたか」に視点を移すことは、懸垂の回数を超えて、自体重トレーニング全体の底上げにも直結する問いだ。
参考文献