成長期の隠れた栄養不足は複数のサインが重なって初めて見えてくる。骨密度が相対的に低下しやすい成長スパート期に、朝食抜き・コンビニ多用など4つの食習慣リスクを確認し、カルシウム×ビタミンDの食事改善を。
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試合でもないのに疲れが取れない――それは食事が原因かもしれない
練習後の疲れが仲間と比べて長引く。集中が続かない。こうした変化を「成長期だから」と片付けていないだろうか。これらは、成長期のアスリートに現れる栄養不足のサインである可能性がある。問題は、栄養不足のサインはとても分かりにくく、ひとつの症状だけでは判断できないことが多い点にある。複数のサインが重なったときに初めて食事との関連が見えてくることが多い(管理栄養士解説・KIDSNA)。
成長スパート期に「体格補正した骨密度が低下する」という報告がある
成長期アスリートを取り巻く身体的リスクを考えるうえで、まず押さえておきたい事実がある。身長が最も速く伸びる成長スパート期には、体格の大きさで補正した骨密度が低下することが報告されている(Faulkner ら 2006年、スポーツ医学の総説内で引用)。骨の体積が急激に増えるスピードにミネラルの蓄積が追いつかない時期が生じるためで、この変化は思春期における骨折発生頻度との関連が示唆されている。
このような身体的変化が起きている時期に、適切な栄養が摂れているかどうかは、スポーツをする子どもにとって特に重要なテーマとして専門家と保護者の間で議論されてきた(NHK TVシンポジウム「成長期アスリート 栄養が足りない」)。
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「隠れ栄養不足」を招きやすい4つの食習慣
栄養不足のサインが分かりにくいとすれば、何で気づけるか。医師による解説(グッドライフクリニック)では、以下の食習慣が栄養不足につながりやすいリスク要因として挙げられている。
- 朝食を抜く習慣がある
- コンビニ食やファストフードが週3回以上になっている
- 野菜の摂取が少なく、菓子でお腹を満たすことが多い
- 牛乳・乳製品をほとんど摂らない
これらは「栄養不足の症状」ではなく「栄養不足を招きやすいリスク因子」と理解するのが正確だ。ひとつ当てはまるだけなら改善の余地がある習慣の範囲だが、複数が同時に当てはまる場合は、食事全体について専門家に相談するきっかけとして捉えることもできる。
成長期に特に意識したい:カルシウムとビタミンDの組み合わせ
成長期にスポーツをする子どもが特に積極的に摂りたい栄養素のひとつがカルシウムだ。乳製品のほか、大豆・大豆製品(豆腐・納豆・厚揚げなど)、骨ごと食べられる魚、青菜、海藻も摂取源として挙げられている。ただし、カルシウムの吸収にはビタミンDが重要であり、脂肪の多い魚(サケ・サンマ・ブリ・イワシ・サバなど)やきのこがビタミンDの供給源として推奨されている。両者を意識的に組み合わせることが有効とされている(スポーツ安全協会)。
食事全体の枠組みとしては、「主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物」の5種類を毎食そろえることが理想とされる。朝の準備時間が限られる日や部活で帰宅が遅い日など、毎食そろえることが難しい場合は、補食(間食)を活用して1日のなかで不足分を補うアプローチが有効で、外食の多い週末でも同様の対応が推奨されている(同)。
※ここからは編集部の推定・示唆です
成長スパート期には骨密度が相対的に低下しやすく、かつ栄養不足のサインが見えにくいという課題が同じ時期に重なる。「元気そうに見える」ことと「十分な栄養が得られている」ことは別問題だ。上記4つの食習慣を定期的に確認し、複数が重なる場合はカルシウムとビタミンDの組み合わせを意識した食事改善から始めることが、指導者・保護者にできる現実的な最初の一歩になりうる。
成長期は二度と訪れない。身長が伸びているという事実は、身体が最もデリケートで、かつ最もケアを必要としている時期にいることを意味している。日々の食事は、パフォーマンスとけがのリスクの両方を静かに左右する「見えない土台」だ。
参考文献